通俗と学術の間                                      

FrontPage

            お知らせ

横山裕道『さまよえる地震予知』が
NHKFM<トーキング ウィズ 松尾堂>「最後の秘境“深海”を知る」
で紹介されました。
(放送:2019年11月10日午後0時15分~午後1時55分)

 ゲストとして出演した東大名誉教授の蒲生俊敬先生の発言要旨は次の通り。

 もう一つは横山裕道さんという方が書かれた『さまよえる地震予知 追い続けた記者の証言』という、ちょっと内容の重たい本ですが、ただ大変読みやすい本です。
 約40年前にまもなく東海地方に地震が起こるという話が非常に盛り上がって、政府も地震予知をどんどん進めようという政策に出た、ものすごい予算を組んで……。我々一般国民ももうちょっとしたら天気予報と同じみたいに地震予知ができる、あしたこのくらいの規模の地震が起こりますよ、と言えるだろうとみんな思っていた。
 ところが、地震の研究をすればするほど、地震はもともと奥が深い現象で、当時楽観的に考えたような地震予知はできないということが最近分かってきた。そういう時代の流れを、毎日新聞の論説委員までされたこの人が新聞記者の目で書いた。当時は本人も地震予知にワクワクしてもうすぐ予知ができるというような記事を書いてきた。
 だんだん雰囲気が変わって来て今では予知ができないとなった。しかし、予知ができないということが、ちゃんと正しく一般の国民に伝えられているのだろうか、という問題意識を持って書かれた、ちょっと重たい本だけれども、すごく感動して読みました。

            新  刊

さまよえる地震予知 追い続けた記者の証言  横山裕道 著

  ダウンロード版     (A5版 211頁)  600円+税  グーグル
  印刷版(POD)    (A5版 211頁) 1,800円+税  アマゾン
  印刷版(PODモノクロ)(A5版 211頁) 1,700円+税  直 販

  ISBN:9784907625498(ダウンロード)
       9784907625474(POD)、9784907625481(PODモノクロ)
  2019年8月1日刊

             「日本の悲願」地震予知がたどった道を克明に描く 
              新たな「地震発生の可能性の高まり」への疑問

さまよえる地震予知

 地震国日本の悲願とも言える地震予知。それがさまよい続けているように思えて残念でならない。最初はマグニチュード(M)8クラスの東海地震なら予知できるとされ、予知と防災を結び付けようと大規模地震対策特別措置法(大震法)ができた。ところが、そのうち地震予知の難しさがクローズアップされ、阪神、東日本の両大震災を経て「地震予知は一般的に困難」という報告書が専門家によってまとまった。

 これだけならまだよかったのだが、今度は「大規模地震が発生する可能性の高まり」という考え方が出てきた。東海地震で夢見たような直前予知はできないけれども、東海地震を含め南海トラフ沿いで起こる大規模地震に関して「どうもあやしいから警戒を」といった程度の情報なら出せそうだとなったのだ。

 どんな場合なのか。代表的なのは、例えば東海地震の発生によって紀伊半島や四国など南海トラフ沿いの西側が割れ残った場合の「半割れケース」。専門家による評価検討会がこのケースだと判断すると、気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表する。津波の危険性の高い地域では住民が1週間程度避難する。でも何かヘンだ。そう、南海トラフ地震の一つが現実に起こってしまい、続いて起こりそうな巨大地震に警戒を呼び掛けるというのだから、臨時情報のありがたみはあまりない。

 残る2つのケースは、南海トラフ周辺で一回り小さなM7クラスの地震が発生する「一部割れケース」と、海のプレート(岩板)と陸のプレートがぶつかり合うプレート境界がゆっくりとすべる現象に異常が観測される「ゆっくりすべりケース」だ。どちらも切迫性があまりないから、気象庁は一段低い南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を出す。同庁が東海地震の予知で焦点を合わせていたのはゆっくりすべりケースだが、これをキャッチできても大規模地震の発生時期などは何も言えないとして脇役に回された。

 筆者は40年以上前に東海地震説が提唱されたころからずっと地震予知問題を見詰め続けてきた。地震予知の可能性を信じ、東海地震の予知も有望だと考えてきた。その意味で反省すべき点は多い、一方でここにきて内閣府(防災担当)などが「地震発生の可能性の高まり」を持ち出し、地震予知をますます混迷化させていることが理解できない。どうして、こんなことになってしまったのか解き明かそうと考えたのが本書だ。政府が設けた会議では、半割れケースが出てきたことの是非や、役立たなくなった大震法をどうするのかについての議論がなぜかほとんどなかった。

 地震予知と深くかかわった専門家たちのエピソードをできるだけ入れるようにしたほか、国立大学の名誉教授などを含む民間研究者が地震を予知・予測できると称し、それを週刊誌や民放が興味本位で取り上げるという嘆かわしい実態にも迫った。密着取材したジャーナリストが「東海地震の予知」の歩みを克明に描いた報告書になっている。

試し読み グーグルへ まえがきと目次へ


            既  刊

タイトルをクリックすれば詳細画面に変わります。


科学哲学序説        石川史郎著 B5 290頁 500円
量子言語入門        石川史郎著 B5 409頁  3,024円*
Linguistic Interpretation of Quantum Mechanics
              S.ISHIKAWA 著 B5 409頁 1,620円
検証『ある神話の背景』   伊藤秀美著 A5 210頁 600円
船舶団長の那覇帰還行    伊藤秀美著 A5 206頁  800円

日本軍の暗号作戦      保坂廣志 著 B5 544頁 2,000円
陸軍 暗号教範       伊藤秀美・保坂廣志解説 B5 262頁 1,000円
日本軍暗号辞典       保坂廣志編・訳A5 55頁 500円  
新教程 日本陸軍暗号    伊藤秀美・保坂廣志訳 A5 172頁 700円     
陸軍暗号将校の養成     伊藤秀美・保坂廣志解説 A5 210頁 700円

沖縄戦下の日米インテリジェンス  保坂廣志著 B5 246頁 1000円
日本陸軍暗号の敗北     伊藤秀美著 A5 243頁 800円       
沖縄戦のトラウマ      保坂廣志著 A5 310頁 2600円*
沖縄戦捕虜の証言      保坂廣志著 A5 上255頁下260頁 各2800円* 
沖縄戦と海のモルフェー   保坂廣志著 A5 168頁 2200円*

量子論から見た西洋哲学史  石川史郎著 A5 208頁 1,700円*
沖縄戦将兵のこころ     保坂廣志著 A5 232頁 2,500円*
沖縄戦の集合的記憶     保坂廣志著 A5 368頁 2800円*
日本海軍暗号の敗北     伊藤秀美著 B5 995頁 2400円
原発と地球温暖化      横山裕道著 B6 282頁 2200円*

注)表示価格はダウンロード版(*はPOD版)の本体価格(消費税抜き)です。


             続  刊

・新電磁気学対話  宇佐美保・伊藤秀美 著
 電線の中の電流の速さはカタツムリなみのノロさなのに、どうしてスイッチを入れるとすぐに電灯がつくのか? 電気が流れるのに電線は必要か? 電圧の低いところから高いところへ電気が流れることはあるか? 素朴な疑問に実験が答えます。そして、背後にある電磁気現象を考察します。


・日本軍暗号事典 伊藤秀美・保坂廣志 著
 日本軍が太平洋戦争時に使用した暗号に関する資料は終戦直後の組織的隠滅工作のために大部分が失われてしまった。しかし、隠滅を免れた資料、関係者の回想、米軍の機密解除資料から、かなりの程度まで全体像を描けるようになってきた。そうした資料を読み解く上で必要な用語を収録した。


・あの日の記憶-石川・宮森ジェット機墜落事件 保坂廣志 著
 1959年6月30日、米軍ジェット戦闘機が(旧)石川市街地と宮森小学校に墜落・炎上した。事故による死者は児童12人(内1人は後遺症による)を含む18人、負傷者は210人に及ぶ大惨事となった。

 事故当時、児童はミルク給食を楽しんでいた。轟音とともに低学年教室を火炎が襲い、次いで6年生教室に機体が激突した。教師も児童も、わけがわからず「戦争だ」「戦争だ」と叫び、怒声が響いた。ひたすら子供たちは、「戦場地」よろしく逃げに逃げ、周辺の田畑、海岸へと駆け込み、父母の職場へと助けを求めた。学園は修羅場と化し、教室は業火に煽られ、衝撃でガラスが砕け散り、戸板に激突した者もいた。一瞬にして児童1,316人、幼稚園児200人の合計1,516人中、約1割の156人が重軽傷を負う、最悪の学園事件となった。

 1960年前後の沖縄は、「相対的安定期」と言われ、「石川・宮森ジェット機墜落事件」に触れる研究者はほとんどいない。あってもせいぜい一行程度の記述で、「ジェット機事件一行史」と皮肉混じりに呼ぶものもいる。

 本事件は、米軍統治下の大事故ではあるが、事件の凄惨さが言葉を閉じさせ、さらに被災者多数が肥厚性痕跡(ケロイド)を持つ児童たちであったため、事件からわずか数年後に人々の記憶から消えてしまった。しかし、記憶の継承は、学校や地域社会で形を変えて脈々と受け継がれ、2012年2月の「NPO法人石川・宮森630会」の設立とともに事件は再評価されることになった。

 事件当時沖縄は、米軍の実質的な軍事支配下にあり、遺族や被災者とその家族を中心に損害賠償運動が展開されたが、日本政府は勿論のこと、琉球政府や(旧)石川市の支援もほとんど得られなかった。反面、米軍は、反米・反基地感情を最小限に抑えるため、様々な策をとり、最後には遺族や被災者賠償金に関わる委員会をワシントンに直接立ち上げ、特異な支払い方法・解決策を案出している。これとともに、米国民政府は琉球政府と連携し住民説得を計り、軍事支配を有利になるよう各種の施策をとったことが判明する。やがて事件は、「記憶の穴」に落とし込められ、「石川・宮森ジェット機墜落事件」は歴史家や政治学を始め人々の記憶から抜け落ちていくこととなった。

 こうした中、「石川・宮森630会」は、米国公文書館が所有していた事件当時の米軍機密文書を入手し、事件から60年を目処に翻訳書を発刊することに決めた。私も翻訳監修に当たり、翻訳書は2019年6月20日、『資料集石川・宮森の惨劇-米国公文書館文書に見るジェット機墜落事件』という書名で公刊された。同書は、基本的には公文書を編纂したものであり、一般読者が手にして理解するにはどうしても通史や解説書の類が必要になろう。そこで私は、事件発生からその終息に至る過程を、内外の新聞紙、米国公文書、一般書籍、さらに体験者の証言録等を参考に、あらたに『あの日の記憶-石川・宮森ジェット機墜落事件』を書き下そうと試みた。

 本書を契機に、「石川・宮森ジェット機墜落事件」が人々に膾炙され、犠牲となった多くの方々や被災者への鎮魂・慰藉となれば幸いである。


愛読者登録すると

書籍の参考文献(原文は手書き)をテキスト化した資料を利用できます 登録

powered by Quick Homepage Maker 4.81
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional