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陸軍暗号将校の養成 伊藤秀美・保坂廣志

陸軍暗号将校の養成 ─ 第51教育飛行師団資料

伊藤秀美・保坂廣志 編 A5版 210 ページ
  ダウンロード版   700円+税   グーグル  
  印刷版(POD)   2,037円+税   アマゾン   

  ISBN:9784907625153(ダウンロード)、9784907625061(POD)
  2014年5月20日刊

暗号将校の養成

 第51教育飛行師団の暗号将校が所持していた暗号関係資料を復刻したもの。収録したのは ・1942年10月に暗号方式を大規模に変更(特別計算表の導入)した直後に参謀本部が作製した「陸軍一般暗号に就て」「航空関係暗号に就て」他 ・航空通信学校の暗号教程本 ・暗号担当者が幹部相手にざっくばらんに語った「暗号常識」 ・電報通数や作業誤りの統計表など。




まえがき

 太平洋戦争時の旧日本陸軍の暗号作戦の実態は、1970年代後半以降、数次 にわたって公開された連合国側機密資料に専ら依拠して解明されつつある。 残念ながらこれらと対比すべき日本軍側の資料は終戦直後の組織的隠滅工作 のため極端に少ないが、それでも暗号将校の教則本とされる「暗号教範」など いくつかの基礎資料が発見され、この方面からの進展も期待できるように なった。

 陸軍の暗号は各部隊の指揮中枢にある暗号班により運用される。暗号の組立、翻訳などの実務は下士官や兵クラスが担当するが、それを班長として統括すべき立場にあったのが暗号将校である。彼等がどのような教育を受けてい たか、どのような情報を手にしていたかは、暗号作戦の実態を知る上でかかせない。 先に復刻版を刊行した「暗号教範」は彼等の教則本であり最も基礎となる資料である。

 今回取り上げる資料は、もう一段実務に近い資料である。第 51教育飛行師団は1943年 1月末から2月初にかけて陸軍航空部隊の暗号将校に対する暗号教育を行なった。この時期は暗号方式の大規模な変更(特別計算表の導入)を行なった直後にあたる。教材は参謀本部作製の「陸軍一般暗号に就て」他の資料であり、変更後の暗号体系がどのようなものであったか、また暗号戦 をどのように展望していたかを知る上で重要な資料である。

 特別計算表を使った暗号は導入約 8 ヶ月後に連合国に攻略されたが、そのひとつに船舶暗号がある。指揮下の船舶部隊が次々と連合国の航空機や潜水艦の餌食になったにもかかわらず、陸軍は船舶暗号が正攻法で解読されたとは考えなかったのであるが、本資料は不可解ともいうべきそのメンタリティーを探る糸口ともなろう。

 原資料は第51教育飛行師団に所属していた黒岩浩中尉が他の資料と合本し「暗号に関する参考」として所持していたものである。この合本には航空通信学校での教程本、暗号担当者が幹部相手にざっくばらんに語った「暗号常識」、電報通数や作業誤りの統計表など興味深い資料が含まれている。

 原資料は古書店を経て旧軍関係資料の蒐集家である小池元博氏の手にあった。同氏から伊藤に内容に関する問い合わせがあり、調査の結果、暗号の基礎資料としての大きな価値を有することが判明した。復刻版を出すことを同氏に提案したところ快諾の上、資料の取扱いを一任する旨了承された。同氏のご厚意に対して深く感謝申し上げる。

もくじ

まえがき
本書のガイド
第1部 暗号掛将校集合教育資料
 1. 事務書類
 2. 参謀長口演
 3. 陸軍一般暗号
 4. 航空関係暗号
 5. 気象関係暗号
 6. 通信関係暗号
 7. 防衛関係暗号
 8. 陸海軍協同関係暗号
 9. 美談集
 10.空中相互/空地連絡用暗号
第2部 航空通信学校教育資料
 1. 暗号講義録
 2. 電報班勤務演習
第3部 一般資料
 1. 暗号常識
 2. 暗号形式
 3. 用語
 4. 用字例
 5. 電報処理図
第4部 統計資料
 1.電報数
 2.作業時のエラー
 3.仮名使用度数等
第5部 民間/官庁の暗号
 1. 暗号の指導統制
 2.私用暗号
解説 陸軍暗号システム - 特別計算表という選択

編者紹介

  伊藤秀美 (いとう ひでみ)
   1950年 三重県生まれ
   1973年 東北大学理学部物理学科卒業
   1978年 京都大学大学院博士課程中退 理論物理学専攻
   防災関係の仕事の傍ら戦史を研究
   著書 検証『ある神話の背景』(2012, 紫峰出版)
       船舶団長の那覇帰還行(2012, 紫峰出版)
       陸軍 暗号教範(2013,紫峰出版,共編)

  保坂廣志(ほさか ひろし)
   1949年 北海道生まれ
   1974年 東洋大学社会学部応用社会学科卒業
   1976年 東洋大学大学院社会学修士課程修了
   琉球大学法文学部講師、助教授、教授を歴任
   現在、沖縄戦関係を中心とした翻訳業に従事
   著書 戦争動員とジャ-ナリズム(1991, ひるぎ社)
       争点・沖縄戦の記憶(2002, 社会評論社, 共著)
       日本軍の暗号作戦 (2012, 紫峰出版)
       陸軍 暗号教範(2013,紫峰出版,共編)

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